ゆっくりトレーニングで筋力アップ


「ゆっくりトレーニング」は、特別な器具もお金も必要なく、自宅でできる筋力トレーニングです。「軽い負荷で、ゆっくりトレーニングをする」のが特徴。必要な負荷は50%1RMが理想ですが、きついようなら、それ以下でも構いません。目安としては、「通常のスピードで30回は楽にできる運動を、ゆっくりと止まらずに5~10回繰り返す」という運動です。

 

スクワットを例に挙げましょう。何も持たずに自重負荷(自分の体重だけの負荷)でスクワットをして、通常のスピードなら30回は楽にできると感じたら、わざとゆっくりした動作で5~10回、限界と感じるまで休まずに繰り返します。何も持たなければ30回以上楽にできてしまうなら、ペットボトルに水を入れたり百科事典を持ったりして、身の回りにある物で負荷をかけ、30回が限界、という負荷を見つけてください。そして、同じ負荷でゆっくりと5~10回で限界になるまでトレーニングします。

 

太ももの前部にある「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」と、お尻の筋肉の「大殿筋(だいでんきん)」。これらは特に、加齢による影響を受けやすい筋肉で、30歳を超えて何も対策をしなければ、毎年約1%の割合で減っていくと言われます。

背骨と大腿(だいたい)骨をつなぐ「大腰筋(だいようきん)」、腹部周辺にある「腹直筋(ふくちょくきん)」、太ももの裏側の「ハムストリングス」などは、「コアマッスル」と呼ばれるスタビリティマッスル(安定筋)です。姿勢を維持するために働くので、座っているだけでも大きなエネルギーを消費してくれる筋肉です。スクワットをすれば、大腿四頭筋、大殿筋、ハムストリングスを増やせます。どこを鍛えるにしろ、「軽い負荷で、ゆっくり、休まずに」というのが「ゆっくりトレーニング」の基本です。これが腹筋運動や腕立て伏せであっても同じ要領です。

 

軽い負荷で効果を上げるカギを握るのは運動後に分泌される成長ホルモンです。

成長ホルモンは、子供が大人に成長するときに盛んに分泌されるが、大人になってからも筋肉の強化や脂肪分解などを促進します。

こんな研究報告があります。スクワットを最大筋力の半分以下で8回3セット行った場合、運動後の約30分間、血液1リットル中に30マイクロ・グラム前後の成長ホルモンが分泌され続けた。これは通常トレーニングで、倍の負荷をかけた場合と、ほぼ同じ。つまり、ゆっくりトレーニングでは通常の方法より成長ホルモンの分泌が活発になり、最大筋力の半分の負荷で、最大筋力に近い負荷で行ったときと同程度の効果が得られた。「筋肉内の血流を制限し続けると、比較的軽めの負荷でも乳酸などの運動に伴って生じる物質が大量にたまり、『激しい運動をした』と体は思いこむ。そして、その信号が脳に送られると、筋肉を修復しようと、成長ホルモンの分泌が活発になる」。これは、腕や足の付け根をベルトで圧迫することで強制的に血流を制限する加圧トレーニングと同様の原理で、ゆっくりトレーニングの利点は第一に、軽い重量でできるので、関節を痛めにくいこと。また、血圧の上昇が少ない分、脳や心臓に負担がかからず事故防止にもつながる。さらに成長ホルモンの効果で、新陳代謝が活発になり、長期的に行えば、肌の若さにも効果があると言われています。